2015.06.21更新

三鷹台駅南口 牟礼の里駅前クリニックの高橋です。

 

さらに「気管支喘息」について続けます。

 

喘息を特徴づけるkeyword1 「可逆性」

 

喘息のかたは夜間や早朝苦しくて横になれないほどなのに、日中はほぼ無症状、ということが多いと思います。症状がつづくときでも吸入や点滴がかなり有効です。これが「可逆性」すなわちもとにもどるということです。

 

客観的な評価法としてはスパイログラムが用いられます。多くのかたは「肺活量の検査」として認識している「息を大きく吸って~吐いて~」のあの検査です。

 

最初の一秒間で吐き出せる空気の量を一秒量、それが肺活量の何パーセントに相当するかを一秒率といいます。一秒率が70%未満の場合閉塞性呼吸障害といいます。気道が狭くなって閉じやすいことをあらわしています。典型的な喘息では閉塞性障害をしめしており、さらに気管支拡張剤を投与すると、一秒量が12%以上、絶対量で200ml以上増加した場合「可逆性あり」と判定され、喘息診断の大きな根拠となります。

 

しかしながら、クリニック受診時すでにゼーゼーがおさまっているかたにスパイログラムを行ってみると、閉塞性障害を認めないことが多いのです。H20年の厚労省の研究班の報告(「気管支喘息の早期診断基準の提言」)においても最終的に喘息と診断されたかたでも67%で閉塞性肺障害をみとめず、可逆性検査陽性率も約半数であり、初期診断に適した基準ではない、とされています。

 

やはり喘息を客観的に評価するのはむずかしいのでしょうか。

投稿者: 牟礼の里クリニック